霊的真理とともに歩む

──真のスピリチュアリズム普及のために

中国という国とどう向き合うべきか

 中国共産党が党創立百周年を迎えました。中国では共産党主導で大々的な祝賀キャンペーンが行われたそうです。東京オリンピックでも、米国と金メダルの数を争い、百周年に花を添えようと選手を異常な熱気で鼓舞したそうです

 

 中国共産党は、共産主義の名を掲げていますが、本質的に中国伝統の王朝であり、毛沢東、鄧小平、習近平は実質上皇帝に位置します。このあたりは、高島俊男著『中国の大盗賊・完全版』(講談社現代新書)にくわしく書かれています。(高島氏は、中国共産党について、日本人としてもごく早くからその本質を見抜いておられました)

 

 習近平国家主席は、記念式典において、欧米からの圧力に屈しないという意思を明確にアピールしました。国内に問題が山積している中国首脳部にとって、強弁な姿勢に出ることは、国民の目を外に向けるためであることは明白です。と、同時に、中国人、主として漢民族に対して、民族の誇りに訴えているとおもわれます。

 

 十九世紀後半以降、中国(清王朝中華民国中華人民共和国)は、国の弱体化に漬け込まれ、欧米列強、ロシア、加えて文化的に下と見ていた日本にいいように引っ掻き回されました。東アジアの雄として、数千年にわたって君臨し続けた漢民族には耐え難い屈辱であったろうとおもいます。また、太平洋戦争後、敗戦国から経済的に復活した日本に先を越され、昭和戦後の時代、多くの日本人が中国人を見下しました。漢民族はそのことを決して忘れていないでしょう

1980年代前後から、欧米、日本の資本が安い労働力を求めて中国に進出したときも、いずれは、これらの国に堂々と対等に渡りあえるくらいの国力をつけてやる、と決意していたに違いありません。

 

 昔、歌手のさだまさしさんが中国に行った折、現地の人に少し意地悪い質問をされました。さださんは、いま発展途上の中国が今の日本に追いつくには何年かかりますか、と聞いたそうです。そのとき返ってきた答えは、五十年くらいでしょうか、だったと記憶しています。

 日本人にとっては、五十年は長いとかんじますが、歴史のある漢民族にとっては五十年はさほど長いともおもわないのかもしれません。その気の長さと自国に対する自信をあらわしているようにおもいます。

 あれから数十年経ち、そのときの言葉以上の状況が現実になっています。歴史を俯瞰すれば、中国がその国名通り、中華であった時代のほうが圧倒的に長く、日本人から下に見られていた時代はごく一時期であることは明白です。そして、中国共産党は、今までの政権(王朝)が成さなかった(成しえなかった)、世界全体に君臨する国家、民族になるべく、猛進しています。アメリカ合衆国に取って代わることは、共産党にとって悲願といえます。

 

 ですから、今後も、よほどのことがないかぎり、中国国内はしばらく中国共産党主導の体制がつづくでしょう。共産党は自国民の国民性(自分たちの生活さえきちんと送ることができたら、政権、トップはたとえ異民族でも関係ないこと)や、中国内の諸問題を熟知しています。権力維持のために手段は選びません。世界でもトップクラスの監視網を早急に構築しました。

 

 ただ、中国は一党独裁をとっているために、国内に政治的な競争相手がいません。つまり、批判したりブレーキをかける役割を担う者がいないのです。わたしは、ここが歴代王朝との決定的違いだとかんがえています(一党独裁体制を敷いたのは、多分に初代皇帝毛沢東の性格によるものとおもいます)

 

 加えて、中国人(漢民族)の民族性があります。彼らは非常に現実主義的な性格です。物的豊かさを求める気質が強く、自己主張をします。自分の利益になることにとても敏感だと言えます。日本人は赤の他人のために尽くすことを美徳とかんがえますが、漢民族は身内を非常に大切にし、内と外を峻別する傾向があります(この点については、これまでの前近代中国の国家機能を考慮すべきなのかもしれません。警察機構や福祉などがほとんど存在せず、身内でなんとかしなければならなかった状況があります)

 そして中華思想の国です。数千年も「自分たちは世界の中心」と思ってきたのですから、西欧人(白人)よりも根深い民族主義的な傾向があるかもしれません。清王朝が長く中国を統治できたのも、歴代皇帝が漢民族の制度、文化を受けいれたからです(戦前の日本が統治に失敗したのはこの点がなかったためといえます) 漢民族の歴史は北方異民族の侵攻をどう防ぐかの歴史でもありますが、支配者層として異民族が君臨しても、実質上他民族の文化文明は中国大陸に広がりませんでした(戦前の日本人はこの点を理解していなかったために大陸進出という愚策を進めてしまいました)

 

 スピリチュアリズムで見ると、非常に物質中心主義の傾向があります。

 あの世が(死後の世界)あるのは信じていますが、この世(物質世界)の延長線上のものとかんがえ、やはり食べものやお金が必要だとおもっています。(高島氏によれば、あの世で飢えないことが、民族最大の徳目、孝、を生んだのだそうです)身内と自分をなによりも大事にするかんがえかたは、この世を生きていくうえでは有利に働きますが、霊的にみると、非常に残念な価値観です。おそらく中国共産党は、中国人のこの「身内」のかんがえかたを国家にまで広げてとらえ、自国民に植えつけようとしているのではないでしょうか。

 

 このような中国に、わたしたち日本人、世界の人々はどう対処していくべきか。

 スピリチュアリズム普及会では、去年、「新型コロナウイルスによる災禍とスピリチュアリズム」と題したインフォメーションのなかで、中国共産党の利己性、排他性を痛烈に指摘しました。

 そこで述べられているように、新型コロナウィルスの世界的な流行は、人々を不安に陥れましたが、中国共産党の野望を先進国の国々に知らしめるきっかけにもなりました(それに先立つトランプ氏の米国大統領就任はその資金石になったといえます)多くの日本人も、中国共産党の真の目的(世界に君臨する中国)を知ることになったとおもいます。

 

 中国にとって、地政的にみて、日本という国土は、太平洋に出ていくうえで、戦略的に非常に重要な場所です(残念ながら、沖縄はその最たる場所に位置しています。台湾も同様です)彼らが尖閣諸島に自国の漁船や軍艦を派遣するのは、資源だけではなく領土的野心があるからにほかなりません。現在は米軍が駐留しているため露骨な態度に出てくることはないでしょうが、今後縮小あるいは撤退した場合、野心を剥き出しにしてくることは必至です。それまでに、なんとか自国と台湾、フィリピン、あるいはオーストラリアなどの周辺国と連携して防衛網を張る必要があるでしょう。

 

 経済的には、中国依存を早期に脱する必要があります。そのためには、消費者として中国製はなるべく買わないようにする行動を取るべきです。最近は店に行っても中国製しか置いていない商品も多いのでなかなか難しいことではありますが、できることからやっていくべきとおもっています。

 これからの社会は、今までのような経済至上主義では完全に行き詰まります。企業は利益ではなく、人の役に立つことを第一に活動すべきです。短期的には苦しくても、摂理に沿った活動は、必ずやよい結果に結びつくはずです。そういう企業を応援していきたいとおもいます。

 

 

 そして、スピリチュアリズムの普及です。世界的に見て、今いちばんハイレベルなスピリチュアリズムが起こっているのが日本です。もしかしたら、霊界は中国の台頭を見越して、日本にスピリチュアリズムを普及させようと意図したのかもしれません(日本人の気質がスピリチュアリズムに合っているという面もあります。おもえば18世紀から20世紀にかけてイギリスが置かれたポジションと歴史的にみて共通点があるような気がします)

 今後、十年、二十年が経ち、一層スピリチュアリズムが広がれば、中国や東アジアにも好影響を及ぼすにちがいありません。霊界が支援していることを信じ、日本人の霊性向上に貢献していきましょう。